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ワークショップの概要(全体)
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新聞社のデザイナーなど、プロを対象に開催してきたSND(The Society for News Design・新聞デザイン協会)のワークショップスタイルと
大学で行っている授業(コミュニケーションデザイン・情報メディアデザイン)をミックスして、わかりやすく伝える視点・表現を探っていこうと思います。
社会人3人+学生1人で構成された5チームが、自分たちのテーマに沿って街で必要な情報を観察・リサーチ・収集・分析・整理し、
どのようにデザインすれば他の人に注目・理解されるかをチーム一丸となって考え、インフォグラフィックスを完成させます。
ワークショップ参加者全員の情報リテラシー(情報を使いこなす能力)を高めていくことが目的です。
視覚による「わかりやすく伝える」ことに興味がある方ならどなたでも参加できます。絵が苦手でも問題ありません。
日時:2008年9月27日(土)10時〜18時30分
会場:渋谷・勤労福祉会館(渋谷公園通り・パルコ前の交差点角)
場所:渋谷
定員:20名(社会人17名・学生3名)……先着順締切
●制作コンセプト:
今回のワークショップでは、架空のフリーペーパーで秋の渋谷特集号を制作します。
渋谷にはおもしろい通りやエリアなどたくさんありますが、それは別の特集号に譲り、今回は、人がワンサカ押し寄せる建物空間5つに注目しました。
「SHIBUYA109」「東急ハンズ」「LOFT」「QFRONT」「東急フードショー」
1チーム当たり見開き2ページを使って、全10ページのインフォグラフィックスを作るという想定です。
●テーマ:「人があつまる 魅力を伝える」
魅力という形のないものを、どうすると読者を引きつける形に変化させることができるか、
集めたデータを、どういう切り口・どういうプロセスで展開させるかが重要なポイント。
「プロの現場」の緊張感をもって、17時の締め切りに間に合わせてください。
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●時間の流れ:
09:30 開場
10:00 開会〜挨拶
10:30〜14:00 ディスカッション・現地調査・ランチ・説明用デザインラフ
14:00〜14:30 シャッフルディスカッション(前半 1a、1b)(10分×2)
14:30〜15:30 デザイン制作
15:30〜16:00 シャッフルディスカッション(後半 2a、2b)(10分×2)
16:00〜17:00 デザイン制作〜完成
17:00 締め切り
17:00〜18:30 発表〜質問〜講評〜リフレクション
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1チームは4人。メンバーとは当日初めて顔合わせをしますが、席に着いた瞬間から活発なディスカッションが展開できるよう、
現地に行かないまでも、ネットやその他で十分な下調べや予備知識を仕入れ、いくつかの自分なりのアイディアを持ち寄ることが必須です。
積極的にそれに関しての「通またはオタク」になっていてください。
コンピュータは使いません。手描きで作成します。
きれいな仕上がりよりは、「おもしろく、わかりやすく伝えるための目の付けどころ」が発見ができれば大成功です。
発表用の仕上げ用紙は、ヨコ位置の模造紙1枚を見開き2ページと見なすか、タテ位置の模造紙2枚で見開き2ページと見なすかのどちらか。
なお、デジカメプリント用にモバイルプリンタとコンピュータ1台を持参しますので、各チーム写真点数12枚限定でプリントできます。
(A4用紙に4枚ずつレイアウト×3シート)
●シャッフルディスカッション(変型バージョン):
他の2チームからそれぞれ1人ずつ呼び、その2人に対して自分のチームの1人が説明します。この様子を自分のチームのもう1人が観察。
聞き役は読者という立場。前半2回、後半2回の4回のシャッフルで、自分のチーム以外の2チームについて制作過程で意見が言えるということになります。
2回のうちの1回が賛同者として、もう1回は逆に異見側としての立場を設定するので軽いディベートになれば面白いでしょう。
全員が説明者、観察者、賛同聞き役、異見聞き役を1回ずつ経験することになります。
講師:木村(TUBE GRAPHICS)・上平さん・小林さん、 オブザーバー:浅野さん・棚橋さん
※木村に加えて、情報デザインフィールドで活躍中の4人の方々に講師やオブザーバーとして協力していただけることになりました。
参加費:基本的に無料ですが、会場費と配布プリント代の実費として500円をお願いします。
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お問い合わせ:事務局⇒ workshop@tubegraphics.co.jp
※このワークショップは不特定多数が直接集合するものではありませんので、新規の方は事前に所属・住所等の申請が必要です。
主催:コミュニケーションデザイン研究会(非営利目的の研究会)
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インフォグラフィックス・ワークショップ 1 終了
各チームの様子を写真中心で振り返ってみます。 チームごとの詳細は ↓このBOXをクリック
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主催者/TUBE GRAPHICS 木村の感想
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1日のワークショップとしてはかなりハードな内容と時間設定でしたが、とても充実した一日だったと
皆さんから寄せられたブログやメールでリフレクションで伝わってきます。
参加者の皆さん、講師・オブザーバーの方々、ありがとうございました。
こちら主催者も皆さんと同じぐらい精神的にもとても緊張しますが、とても気持ちのよい疲れです。
同じものを目指して一生懸命な仲間がこんなにいるんだとビックリされた方も多かったのではないでしょうか。
皆さんが10倍パワーを得たとしたら、私はその倍以上はいただいたなと思っています。
第1回目なので計算外のこともいくつか生じましたが、ほぼ満点に近いワークショップだったと思っています。
私は手取り足取りは教えない方針で臨みました。よほど方向違いでもしない限りは基本的にはみんなで考えている力に任せています。
これまでも失敗から学んだことのほうが強く印象に残っているはずです。
ワークショップの中でもっとも重視した3つのポイントを中心に感想を述べます。
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1番目のポイントはこの時間帯の過ごし方でした……長いようで実はとても短い。宿題の「通またはオタクになる」の意味するもの
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「 10:30〜14:00 ディスカッション・現地調査・ランチ・説明用デザインラフ」の時間の使い方が仕上がりに大きな影響をもたらしています。
開催直前まで、講師・オブザーバー側では、このタイトな時間でぶれない方向性を確立できるのか心配する声が多かった。
3時間30分のモデルスケジュールを与えた方がいいのではというアドバイスもありました。
リーダーとタイムキーパーを決めるようにとの指示を出したのは、ワークショップを数多く主催・経験している彼らの声に応えてのこと。
みんなから出たアイディアを付箋に書き込んでペタペタ貼ったり、話の流れをメモする書記役も決めた方がもっとよかったと思います。
さて、事前に現地で下調べをしている人が多かったのには正直ホッとしました。でも「通またはオタク」には成りきれてなかったようです。
「通またはオタク」は一般の人と並外れた知識・方向性を確立しています。距離を置かれながらも半目あけて興味深く見つめられる存在。
資料だけでなく、そこから展開させた、偏っていても自分なりのアウトラインをもっとしっかり描いてきて欲しかったなあと思いました。
また、小さいことでも大きく化けて面白くなることが経験上とても多いのです。こねくり回しているうちにおもしろい形になる可能性があるので、
自分の中だけで捨てないこと。少しでもおもしろいと思ったり、えーそうなんだと感じたコトは、一般の興味に近いことがあるので大事にしたい。
こんなのどう?と積極的になれば、初めからチーム内ディスカッションがもっと濃いモノになり、おもしろい仮説に結びついていきます。
ある程度方向性が定まらないまま出かけても、ごく短時間の現地調査で何か画期的なモノが見つかることはまずありません。
最初からそう言ってほしかったという人もいるかも知れませんが、その場に臨んではじめて理解できるものです。今後にきっと役立ちます。
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2番目のポイントはシャッフルディスカッション……ワークショップの概要で下記のように伝えていました。
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シャッフルディスカッション(変型バージョン):
他の2チームからそれぞれ1人ずつ呼び、その2人に対して自分のチームの1人が説明します。この様子を自分のチームのもう1人が観察。
聞き役は読者という立場。前半2回、後半2回の4回のシャッフルで、自分のチーム以外の2チームについて制作過程で意見が言えるということ。
2回のうちの1回が賛同者として、もう1回は逆に異見側としての立場を設定するので軽いディベートになれば面白いでしょう。
全員が説明者、観察者、賛同聞き役、異見聞き役を1回ずつ経験することになります。
相手の視点から客観的に見るということは知っていてもなかなか難しいですね。
実は今回の変型シャッフルディスカッションはその練習用に考えたものです。
モノを見るとき角度を変えると様々に形が変わります。ちょっと離れてみるとそれ単体だけでなく他との関わりも見えてきます。
上記の概要の中の「聞き役は読者という立場」というのがキーワードです。
いろいろな役目を短時間で経験することによって、日常のアプローチが変化し自分の仕事にいい影響をもたらしてくれればと……。
-----こんな場面を想像してみてください-----
電車でつり革につかまっていると、前に座っている人があなたが作ったページをまさに開かんとしていた。
あなたが作ったページは「どうです?おもしろいでしょう?」と一所懸命に読者を引きつけようとしています。
ちらっと見るなり、「知ってることじゃん」あるいは「わけわかんない」と次のページをめくってしましました。もう二度と会えません。
または、最初は同じように引いて見ていたが、「ん?」と何か共感するものがあったらしくじっくりと読みはじめた。
共感させたとういことは、つまりその人をその場に連れて行ったということ。何かが魅力として伝わったからでしょう。
(配役:つり革の人=観察者、雑誌のページ=説明者、すぐページをめくった人=異見聞き役、読み始めた人=賛同聞き役)
今回の変型シャッフルディスカッションはこの4人の役割を自分一人で経験できる場として考えました。
自分が説明者のとき、賛同聞き役、異見聞き役、観察者の3人は他の人ですが、実はこの場にいる4人とも自分だったということです。
「視点を変える」には2つの意味があります。単純に最良の形になるポイントを見つけることと、他の人の立場で考えること。
以前、講師の上平さんに模型を使って説明したことがあります。
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3番目のポイントはたっぷりのプレゼン〜講評時間
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予定時間は各チーム20分でしたが実際は平均25分。ほんとは30分は欲しかったな。
せっかく一生懸命作ってもわずかな時間しかない形だけのプレゼンでは、発表をする側も聴く側も時間の無駄です。
初めて見る人にとってはよく理解できないまま「きれいだねー」ぐらいのイメージしか持たれません。これではチーム内で時間を過ごしただけです。
こうならないために、今回は制作時間をギリギリまで削ってもプレゼンや質問、講評の時間をできるだけ多く確保しました。
通常のプレゼンでは、聴く側は初めてその仕事を目にしますが、今回は2回のシャッフルディスカッションで半分の人は相手の内容を知っています。
できれば半分の人ではなく、全員が他のチームの内容をプレゼンの前に理解しているのがいいのですが……。何かいい方法がないかな。
自分の意見がどういう風に活かされていったのかも確認できる共有するプレゼンテーションを目指しました。
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今後のために
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・見えない言葉だけの議論ではいつまでも堂々巡りなだけ。よく見えない鉛筆でなく、ハッキリとした線・色で「形」に出すとそこから発展する。
・前半のシャッフルディスカッションは、方向が決められないままに突入したチームもあり、各自の役割も徹底しなかった。ミニプレゼンの方がよい。
・途中段階のプロセスの断片は少しは見えるものの、宿題でみんなが考えてきた原アイディアを紹介できていないのが悔やまれる。
・当日まで、他のチームの制作対象もチーム内の他のメンバーの情報も明らかにしなかったが、オープンにしたほうが効率はよかったと思う。
・デジカメが事務局のプリント環境と対応していないメディアだったのでプリントできないチームあり、反省。
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